第2章

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「何だよこれ!」 と、投げ捨てる者もいれば 「絶対家宝にするわ」 と胸に大事に抱える者もおりました。 ちなみに私はと言うと、初めて見るタイプの試験でしたので、対処法が分からず困惑しておりました。 普通なら 「この術を使って見せよ」 という実技タイプか 「この魔法の由来、歴史を百字以内で記述せよ」 という筆記のいずれか、もしくは両方だからです。 しかしこれは違います。 何故ならば、それは殿下のウインク姿が印刷されているだけだったから。   裏表を何度も確認したり、一枚隠されているのではないかと厚みを確認したり、隠れ文字がないか探してみましたが、どこにも試験の内容の記載がありません。 周囲を見渡してみますと、同じように紙を眺める者、地面に叩きつける者、持っていた飲み物を使って濡らす者など様々でした。 しかし、誰一人もその場から一歩も動かず、首を傾げるだけでした。 「ねえ」 突然背後から話しかけてきたのは、いかにも地元では優等生として評判だったのだとわかる風貌をした少年でした。 「あんた、わかる?」 馴れ馴れしくタメ口を使ってくるのが少しだけ気になりましたが、とりあえず首だけは振っておきました。 「そっか、わかった、ありがと」  そう言うと、少年はまた別の人間に次々と声をかけていきます。 (知らない人に声をあんな風にかけるなんて、私にはできません……) 少年の気さくな性格が、少しだけ羨ましくなりましたが、一度頭を整理するために、人の姿が見られないバルコニーの真下まで移動することにしました。 すると、先ほどのターバンの男性がそこにいたのです。 私は咄嗟に後退りしてしまいましたが、まだその人がこちらには気付く気配はありませんでした。 その人は、誰にも拾われていない紙を丁寧に拾い上げ、一枚一枚並べ、見比べております。 私は、感じていた恐怖心よりも、その人が何をしているのかという好奇心が勝り、近づいてしまいました。 私の一歩により、起きたほんの少しの風が、紙を一枚捲ってしまったことで、その人は近づいてくる私という存在に気づきました。 ほとんど見えないその人の顔の中で、唯一見える目が、先ほどのように、鋭く睨み付けているのが分かりました。 ですが、私も人生がかかっています。 「……何か、分かりましたか?」  尋ねても、何も返ってきませんでした。 (このままここにいれば、何か、分かるかもしれない)  確証もない、勘でしたが、どうせ他に何もできることが無いので、その人の動きを観察することにしたのですが……。
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