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西塔 瑞様
この間の写経は良く書けていたね。
今度は色鉛筆なども差し入れるから、絵も描いてみてはどうかな?
必要な者があったら教えてください。
さて。
気になることがあります。
先日の面接の時、右の耳の下に痣が出来ていたけれど、どこかにぶつけましたか?もし、何か困ったことがあるなら決して我慢しないで。
心配しています。
君行
西塔 君行様
色鉛筆!是非、絵を描いてみたいです。
学生の頃、美術の成績は良かった方なので…似顔絵でも描きましょうか。
痣のことですが……
心配しないでください。前のように泣き寝入りしてはいませんから。
味方になってくれる刑務官もいます。
嫌なことは嫌だと言う、君行さんに教わったことは忘れていません。
瑞
西塔 瑞様
そうでしたか。
本当に大丈夫ですか。
実は気が気ではないのです。中年になると、いろいろ臆病になるものですね。
瑞が大丈夫というのだから信じます。
気を付けて過ごしてください。
君行
西塔 君行様
初めて、心配してくれましたね。
いつも君行さんはクールで、僕の一方通行なのではないかといつも不安に思っていたので、実はすごく嬉しいです。
君行さん。
どうか心配しないでください。僕はあなたのものです。
検閲にかかると分かっていても、書かずにはいられません。
瑞
西塔 瑞様
強くなりましたね。
生きる力を持てるようになった瑞を見られるのは、何より幸せです。
しかし初めて心配したわけではありませんよ。
いつでも瑞が元気でいるか、ひとりで悲しんでいないか、私は心配しているのです。
君よりもずいぶん年上なので、なるべく冷静にいようとしているだけなのです。
君行
西塔 君行様
僕は、いつも君行さんのことを考えています。
好きな人のことを考えるのに、冷静になるのは難しいですね。
早く面接でお会いしたいです。
君行さんの声を聞きたいです。
本当は君行さんに触れたいのです。
早く会いに来てください。
瑞
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