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それからピンクの生地にフリフリが付いた枕カバーとシーツをじっと見つめ、申し訳なさそうに小首を傾げる。
「栞ちゃん、お宅にあるシーツも素敵なんだけど・・・・、これに変えても良い?」
「もちろん」
今の家で使っているのはウチの会社が扱っているスウェーデンのデザイナーさんのファブリック。薄緑と藍色の重なる柄で人気のシリーズだけど、マキちゃんはもっとカワイイ系が好みらしい。
「うふふ~。あら、こっちの猫ちゃん柄も良いわね! ああん、迷っちゃうわ~」
大柄で細マッチョなマキちゃん、今はすっぴんなので見た目が男(いや性別どおりだけど)なので、すれ違うおばさんが二度見していった。
今はLGBTも社会的地位を上げてきたけれど、やはり人目を引くんだよね。
マキちゃん、綺麗な顔だから余計に。
「ねえ悪いけど、お洋服も買い足して良い?」
「うん、時間あるなら」
ショッピングモールを出て向かったのは、大通りから一本入った通りにあるブティック。
「マキ。いらっしゃい、久しぶり」
迎えてくれたのは、マキちゃんよりは小柄で細身だけれど、ピッタリした黒皮のパンツと白いコットンシャツが似合う短髪の男性だった。
その髪は綺麗な銀色で、耳には大きな輪っかのイヤリングがぶら下がっているけれど。
「あら珍しい、女の子連れで。お友達?」
「ええ、新しい部屋の大家さんなの。ねぇ、この時期に着れる服、残ってない? アタシのサイズ、他のお店じゃ少なくって」
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