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お店の人は一瞬目を見開き、マキちゃんの後ろに立つ私の顔をチラと見て。
「そう、ねぇ・・・・・・シャツブラウスなら、確か」
そう喋りながらも、何やら二人は目で別の会話をしている様子。それから彼はコツンコツンと木の床を鳴らして此方に来ると、
「ええと、マキの、大家さん?」
と私に微笑みかけた。
「あ、栞です。小野寺栞」
「栞ちゃんね。アタシはマキの友人でこの店の店長やってる、吉沢タカシ。よろしくね?」
タカシさんか。お化粧はしてないけど、『アタシ』なんだな。
「どうも、こちらこそよろしくです」
ぐっと伸ばしてきた手を取って握手をするとタカシさんは小首を傾げて
「彼女、耐性あるのね」
と言う。
「タイセイ?」
「アタシみたいな人種に慣れてるのかしら?」
「じん・・・アハハ、デザイナーさんとかでは珍しくないですね」
笑う私にマキちゃんも優しく微笑む。
「この子、こう見えて副社長さんなのよぉ。インテリア雑貨やファブリック扱ってる会社の」
「まあ、素敵」
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