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「マキちゃん、常連さんなの?」
「アタシよりハルやレンさんかな。ここ、オカマが着るのに丁度良い服あるから」
確かに。
輸入品中心らしく、大柄な女性物が結構あったしデザインも個性的だった。
「あの店長、たまにハルの店に来るわよ。定休日が水曜だから、火曜の晩が多いかしら」
「ふうん」
私がハルちゃんのお店に行くのは金曜が多いから、会ったことないのだろう。
ハルちゃんのお店『Koharu』は別にオカマバーではない。確かにハルちゃんやマキちゃんはオカマらしいけど、若い女性スタッフも居るし、ちょっとおじさまの渋いバーテンダーもいる。
ちなみにハルちゃんは兄貴の高校の後輩で、私を初めてあのお店に連れて行ったのも兄貴だった。
柔らかな低音ボイスでオネエ口調のハルちゃんは、なぜか人の心を和ませる天才で。私は仕事でしんどいときに時折訪れていたし、智紀の浮気が発覚してからも・・・・。
ああ、そう言えばその頃からだ。マキちゃんを見かけるようになったのは。
「じゃあ、行ってきま~す」
早めの夕食を取り一旦家に戻った後、マキちゃんは新しい服に着替えて出勤していった。今夜は団体さん予約が入っているとのことで、広くもないハルちゃんのお店は賑わいそうだ。
マキちゃんが出て行ったリビングで何となくテレビを見ていると、スマホが鳴ったので手にとって固まる。
それから溜息をついて、仕方なく応答した。
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