<1> 同居人マキちゃん

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「マキちゃん、常連さんなの?」 「アタシよりハルやレンさんかな。ここ、オカマが着るのに丁度良い服あるから」 確かに。 輸入品中心らしく、大柄な女性物が結構あったしデザインも個性的だった。 「あの店長、たまにハルの店に来るわよ。定休日が水曜だから、火曜の晩が多いかしら」 「ふうん」 私がハルちゃんのお店に行くのは金曜が多いから、会ったことないのだろう。 ハルちゃんのお店『Koharu』は別にオカマバーではない。確かにハルちゃんやマキちゃんはオカマらしいけど、若い女性スタッフも居るし、ちょっとおじさまの渋いバーテンダーもいる。 ちなみにハルちゃんは兄貴の高校の後輩で、私を初めてあのお店に連れて行ったのも兄貴だった。 柔らかな低音ボイスでオネエ口調のハルちゃんは、なぜか人の心を和ませる天才で。私は仕事でしんどいときに時折訪れていたし、智紀の浮気が発覚してからも・・・・。 ああ、そう言えばその頃からだ。マキちゃんを見かけるようになったのは。 「じゃあ、行ってきま~す」 早めの夕食を取り一旦家に戻った後、マキちゃんは新しい服に着替えて出勤していった。今夜は団体さん予約が入っているとのことで、広くもないハルちゃんのお店は賑わいそうだ。 マキちゃんが出て行ったリビングで何となくテレビを見ていると、スマホが鳴ったので手にとって固まる。 それから溜息をついて、仕方なく応答した。
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