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『あ、ああ。・・・・けど、あのお義母さんが何かにつけ』
「悪いけど、雪奈さんをあのお母さんべったりにさせない方が良いと思うわ。智紀のほうがこれから先ずっと雪奈ちゃんと居るのよ? 智紀がしっかり、雪奈ちゃんの信頼を得なきゃ。母親よりこの人の方が正しいって思わせるくらい」
『・・・・ん、』
女1人で雪奈ちゃんを育てた母親は、娘にはシングルマザーの苦労をさせたくないと私達に離婚を迫り、智紀と雪奈ちゃんを結婚させた。私達のことはともかく、娘可愛さに常識を逸した行動を取る傾向があるのではないか。
『俺、雪奈が元カレに捨てられたのも、あの母親が何かしたからじゃないかって思い始めたよ』
「そんな終わったこと・・・・、ねえ、智紀、今どこで喋ってるの?」
『あ? ああ、ちゃんと外に出て』
「外? 外って、玄関出たマンションの廊下じゃないわよね?」
『え、・・・・や、そう』
「馬鹿? 切るわよっ。悪いけど、私にもう掛けてこないでちょうだい。
別れた元妻とこんな風に電話してるなんて、ちょっと考えたらあり得ないって分かるでしょ?
亮一に相談しなさいよ、あの子もバツイチだし。
とにかく、雪奈ちゃんを支えるのよ? 全身全力で! じゃあねっ」
言い切って、返事を待たずに赤いボタンを押した。大きく息を吸って、そのままスマホを床に投げつけたくなるも、堪えてソファにぽいと投げる。
全く、夫になる前からの付き合いが長いと面倒だ。ちなみに亮一という奴も私達と小中高と同じ学校。智紀とはずっと連絡を取ってたはず。
「ほんっとに、男って・・・・」
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