<1> 同居人マキちゃん

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昨日は金曜日で、いつもならスーパーであれこれ買って帰る日なのだが、そういう気にはなれなくてハルちゃんの店で呑んだんだ。誘った小百合は旦那の呑みが終わったからと早々に帰って、それからはお店のスタッフさんとお喋りして呑んで・・・・。 「どうやって帰ったんだっけ私。・・・・あー、ちょっと、二日酔いだ」 鈍く痛むこめかみを押さえつつ、私の寝室にしている部屋の扉を開け、よたよたと廊下を歩く。広々としたリビングに入ると、兄が買った黒い皮のソファの背もたれが見えた、のだが。 「 っ、・・・・あ、足?」 マネキンのじゃない、男の足がにょきっと出てる。 兄貴? いや、あの人は今ストックホルム。 「智紀・・・・・・じゃない」 此処に来る筈はないし、悲しいことに足先の形で別人だと分かるほど私はアイツを覚えている。 ソファで・・・・寝てるの? え、生きてる? 私、ヒト殺してないよね? ベッドじゃなくて此処で寝てるんなら、もしかして、 ハルちゃんのお店から私を連れて帰ったくれた・・・・とか? ―― え、誰? 足を忍ばせ、壁際を歩いてソファの人を確認する。背もたれに顔を向けているが、眠っているようで此処は殺人現場ではないらしくてほっとした。 逞しそうな胸から足首くらいまでを覆っているのは、私の綿毛布だ。寝室のクローゼットに畳んであった筈だけど。 あれ? ちょっと待って? 私、パジャマに着替えてるよ?――ってことは、 ・・・・あれえ? 「ん、・・・・んん~、」 頭を抱えていると、ソファの人がもぞもぞと上を向いた。  
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