478人が本棚に入れています
本棚に追加
――『ハルったら、20年来の友人であるアタシより猫なのよっ。別にあの子たち取って食うわけじゃないのにっ』
――『家猫、最強だからねー』
――『悲しいわぁ、あの子たち、アタシの何処が気に入らなかったのか』
悔しがりながらも、マキちゃんだって大の猫好き。昨日の晩、私の身の上話を聞いてもらった後の、主な話題は猫のことだった。お互い好みは短毛の和猫。ちなみに私は三毛が好き。
――『ずっと一緒に居れば懐いてくれるんじゃないの?』
――『ハルったら3日しか猶予くれなかったのよ。3日間エサ係させてもらったけど駄目だったのよ~』
まっ白なブランちゃん、黒猫ノアールくん、茶トラのマホガニーちゃん。マキちゃんは特に理想的なトラ模様のマホガニーちゃんに怯えられたのがショックだったと悲しそうに項垂れていた。
で、私から誘った訳だ。『じゃあウチに来なよ~』と。
「ごめんね。ちゃんとベッド用意する前に私、寝ちゃったのよね?」
「いいのよ、此処のソファ寝心地、お店よりずーっと良いわ」
昨夜は酔っ払った私を、ハルちゃんに頼まれたマキちゃんが支えて連れ帰ってくれた。でも自分で鍵を開けたのも、冷蔵庫からお水を出してふたりで飲んだのも覚えてる。
少し酔いが覚めた私が先にシャワーを浴びて、マキちゃんにシャワーを勧めて・・・・
ああ、マキちゃんに使ってもらう着替えと綿毛布を自分の部屋に取りに行って、ちょっと休むつもりでベッドに横になって・・・・・・そのまま寝たんだな、私。
「シャワーから出たら栞ちゃんの姿が見えなくて。廊下に出たらお部屋の明かりが見えたのよ。声、かけたんだけど・・・」
「申し訳ない、たたき起こしてくれたら良かったのに」
どんな寝相だったか、想像したくないなーーと。
少々気まずい笑みを浮かべつつ、朝食を済ませた。
最初のコメントを投稿しよう!