テレビってどうなの?

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他にも、例えば、米国で初めてスペースシャトルが墜落してしまった時。 あの時、日本のマスコミでは、スペースシャトルが墜ちてしまったことしか言ってなかったように思う。 だけど、米国のNewsWeekには、実は離陸直後、機体が墜落すると報告を受けた乗組員の方達が、街に墜落しないように軌道を変更して、わざわざ海に墜ちるようにして亡くなっていったことまでが書かれていたそうなの。自分達の死を宣告された乗組員の方々が、命がけで、地上の人たちを護ってくれたの。(蛇足だけど、これは極めてキリスト教文化圏的発想なのよ。) これを教えてくれた英語の先生は、日本のマスコミで報じられないことを、とても嘆いてた。海外から帰ってきた先生だったので、日本のこういう類のおかしさに気づける方だったんだと思う。 とはいえ、この当時、こういったリアリティを日本のお茶の間が受け止められたかどうかは、確かに疑問符が着くわ。 それからね、確か、湾岸戦争の時にね、CNNのニュースが生々しく最前線での状況を伝えていたのだけど、その映像を日本のニュースで流した時、途中で場面をカットされてたってこともあったな・・・。 そのカットされた場面はね、たくさんの殺戮があったことをそのまま撮影していたところでね、戦争の悲惨さ、残忍さを伝える、正に「戦争の核心」が伝わってきたところだった。そこをカットしてしまったら、「戦争」のリアリティが遠のいてしまう、そんな大事な場面だった。少なくとも私にはそう思えた。 当時の私は、そのCNNのニュースを流しているアメリカを、凄いなって思った。どんな戦慄を覚える現実でも、ありのままをそのままに受け止める。精神的に成熟した国だと。ただ、残虐性を日常化するのは、とてもリスクがあるとも思うから、現在のアメリカの社会を成り立たせる上で、一長一短があったかもしれないとは思う。 そして、日本のニュースはお茶の間にそのCNNの映像を流さなかった。 あまりにも、残虐すぎて、心をえぐられるような映像だったからだと思う。 いいのか。 悪いのか。 でも、そうやって、私達が気づかないうちにお茶の間の安寧は守られてる。 大事なこと、とも思うけれど、 そうやっている内に、私達は世界の、あるいはこの世の、「リアル」を忘れながら生きることも出来るようになったの。 ・・・読んでくださる方に元気になっていただくように書き始めたのに、ずっしりと重いこと書いてしまってごめんなさい。 でも、今回のウイルスの件は、こういう「リアル」を私たちに突きつけている問題だと思ってる。ここで目を逸らしては、未来への眼差しをも逸らしてしまう。 しっかりと、地に足をつけなければならないと思う。 ここで、まっすぐに生きる決意がなければ、まっすぐには進めない。 今ね、卒倒しそうなくらい大変なことが世界で巻き起こってるのよ。
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