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「女子高校生だから緊張しているんでしょ。優大君」
「うるせい。てか、舞。おまえ、庭仕事は一時間経ったら休憩だと約束しただろ。なにかあったらどうするんだよっ」
「ちょっと時間が過ぎただけじゃない」
「ちゃんとそこに座ってろ。おまえも口出しなしだぞ!」
「はいはい」
やんちゃなヤンキーの面影はなくなったが、いまは無精ひげスタイルを気に入ったようで、ちょっとした強面兄貴の風貌になってしまった。それでも白いコックコートと父とお揃いの黒いバリスタエプロンスタイルは健在。そして『店長』としての風格もばっちりで、父の健康面を大事に労ってくれ、いまは優大がカフェを切り盛りしている。だから面接もオーナーが付き添えど、判断は優大がするようになっていた。
舞もお爺ちゃんと同じテーブルに座る。
「そろそろかな」
お爺ちゃんが壁掛け時計を見上げた。舞も腕時計を確認する。
遠い都会からひとりでここまで来ると、その子が言い張ったのだ。告げられていたJR駅到着時間も過ぎているから、もうタクシーに乗ってこちらに向かっているはず。そろそろカフェの前へ到着する……はず。
「お、来た来た」
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