① 女子高生の面接日

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「ほんとに! 私の姪っ子ちゃんになるんだね。おーい、おばさんの美羽ちゃんですよー」  妊娠六ヶ月になる姉のお腹に、高校生の妹が声をかける。 「高校生なのに叔母さんなんて呼ばせられないね」 「美羽ちゃんって呼ばせる」  店先できゃいきゃいと姉妹で騒いでしまったが、美羽がはっと我に返り舞から離れた。 「ごめんね、お姉ちゃん。妹としてはあとでね。いまから面接、行ってきます」 「すっごい怖い顔で待っていたから、頑張ってください。お姉さんは影で見守っています」  頑張ってと来たばかりの妹の背を押す。美羽も表情を引き締め、店内へ入っていく。 「東京から来ました。松坂美羽です。面接ができるようにしてくださって、ありがとうございます」  黒髪になったが無精ひげの強面男が、コックコート姿で仁王立ちに構えていた。 「いらっしゃい。松坂さん。では、さっそく面接を始めますので、こちらにどうぞ」 「失礼いたします」  面接のために用意していたテーブルへと優大と美羽が向かい合って座った。テーブルには、美羽が送ってきた履歴書が置かれる。
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