② カラスに恩返し

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 父はもちろんホッと胸をなで下ろす仕草を見せて、顔をほころばせる。 「もちろんだよ! 松坂美羽さん、採用おめでとう。頑張って働いてくださいね」 「はい、オーナー」  舞と加藤のお爺ちゃんも顔を見合わせ、よかったと微笑みあう。  そうして面接が終わった途端だった。美羽が座っているそこで、くすくすと笑い出す。 「なんだよ、美羽」 「だって、大ちゃんが、すんごい真面目な顔の店長面なんだもの」 「はあ!? おまえ、店長面ってなんだよ! 俺は正真正銘、ここの店長で、この店の跡取りで、婿だぞ!」 「でもぉ、うんと泣き虫の店長さんなんだよね、すぐ泣くの。もう娘が生まれたらいちいち泣いて大変なんじゃないかなあ」 「くっそ、美羽。おまえ、高校生になってから生意気!」 「元ヤン店長にガン飛ばされて脅されないようにと思って」 「俺は元ヤンじゃねえ。『ぽかった』だけだっつーの」 「ほらほら、っつーの、ってヤンキーぽいー」 「オーナー、さっきの履歴書返してください。不採用のハンコ押すんで」  大人げないやり取りに、妻である舞は呆れるのだが、ここ最近の優大と美羽らしいやり取りだった。
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