793人が本棚に入れています
本棚に追加
父はもちろんホッと胸をなで下ろす仕草を見せて、顔をほころばせる。
「もちろんだよ! 松坂美羽さん、採用おめでとう。頑張って働いてくださいね」
「はい、オーナー」
舞と加藤のお爺ちゃんも顔を見合わせ、よかったと微笑みあう。
そうして面接が終わった途端だった。美羽が座っているそこで、くすくすと笑い出す。
「なんだよ、美羽」
「だって、大ちゃんが、すんごい真面目な顔の店長面なんだもの」
「はあ!? おまえ、店長面ってなんだよ! 俺は正真正銘、ここの店長で、この店の跡取りで、婿だぞ!」
「でもぉ、うんと泣き虫の店長さんなんだよね、すぐ泣くの。もう娘が生まれたらいちいち泣いて大変なんじゃないかなあ」
「くっそ、美羽。おまえ、高校生になってから生意気!」
「元ヤン店長にガン飛ばされて脅されないようにと思って」
「俺は元ヤンじゃねえ。『ぽかった』だけだっつーの」
「ほらほら、っつーの、ってヤンキーぽいー」
「オーナー、さっきの履歴書返してください。不採用のハンコ押すんで」
大人げないやり取りに、妻である舞は呆れるのだが、ここ最近の優大と美羽らしいやり取りだった。
最初のコメントを投稿しよう!