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「一度降りた採決なので、もう返せません。オーナー決定で保管するからね。美羽、安心していいよ」
「ありがとう、パパ。よかったパパも顔色がよくて安心した!」
美羽がやっと立ち上がり、父へと向かい抱きついた。父もそれはもう嬉しそうにして、良く来た良く来たとほくほく顔だった。
「美羽ちゃん、よかったねえ。お爺ちゃんも待っていたよ」
「加藤のお爺ちゃんも、お元気そうでよかった。またアイヌのお話を聞かせてね。SNSで流れてくる、お爺ちゃんのアイヌ姿、すっごく素敵。花畑の中にいるアイヌの着物の人。カララク様も、カムイモシリィでは、そんなお姿なのかなあと思っちゃう」
そんな妹の言葉に。舞は久しぶりにあの人のことを思い出していた。
その人もアイヌの素晴らしい晴れ着をまとった、とても美しい男性だったことを。
もうお姿は見えないけれど、きっとあの姿のままで、舞が育てた花を丘の風の中、見ていてくれる気がする。
美羽は高校二年生になった。
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