3 泣き虫 野良は、生意気 野良

2/6
前へ
/186ページ
次へ
マジか。 「もしかして、中学生?」 刈谷は、俺の質問に、ぷぃっと顔を背けて言った。 「もう、学校は、辞めた」 「はい?」 俺は、言った。 「辞めたって、あれ、確か、義務教育だったんじゃ」 「僕の学校は、そういうのじゃなかったんで」 「そういうのじゃないって・・しゃ、どういうのだよ?」 俺がきくと刈谷は、ぽつぽつと話始めた。 どうやら、刈谷の通っていた学校は、普通の学校じゃなく、中高一貫の私立学校だったらしい。 つまり、いいとこの坊っちゃん方が通う学校だったわけだ。 「何?お前、もしかして、いいとこの子なの?」 「いいとこ?」 刈谷は、少し考え込むと、頷いた。 「うん・・そうかもしれない」 「否定しないのかよ」 俺は、ちょっとフテ気味の刈谷を見つめてきいた。 「お前、なんでホームレスなんてしてたわけ?」 「それ、は・・」 刈谷は、口をつぐんでしまった。
/186ページ

最初のコメントを投稿しよう!

481人が本棚に入れています
本棚に追加