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4 野良は、獲物を捕らえる
俺との話し合いの結果、刈谷は、非通知にした俺のスマホから家へと電話だけ入れることになった。
とにかく、家族に心配かけてはいけない。
嫌がる刈谷に、俺は、断固として譲らなかった。
というわけで、今、刈谷は、家へと電話中だった。
俺は、刈谷が電話するのを側で見守っていた。
何回かのコール音の後、誰か、男が電話に出た。
『はい、刈谷でございます』
「あ、松村、僕」
『・・駿坊ちゃまですか?ご無事なのですか?今、どこにおられるのです?』
「僕は、大丈夫。心配しなくてもいいから。パパとママにも、そう伝えておいてくれ」
『坊ちゃ』
プチッと刈谷は、電話を切った。
うん。
なんか、いろいろ言いたいことはあるけど、まあ、元気に生きてることは伝わったかな。
刈谷は、俺にスマホを返して、面白くなさげに言った。
「ちゃんと連絡したよ、雅人」
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