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二十分後。
タオルで髪を拭きながら風呂場からリビングへと戻ってきた男を見て、俺は、ビックリしてしまった。
さらさらの、洗いざらしの黒髪に、整った、少し、冷たいぐらいに美しい顔。髭を剃った男は、俺が思っていたのより、さらに若く見えた。
男は、俺を見て、口を開いた。
「腹、減った」
ぞくぞくするような、イケボだった。
男の上から目線な態度にも驚きながらも、なんだか、ドキドキしてしまった。
「そこ、座って」
俺は、できるだけ平静を装って、台所のテーブルに向かって座るようにと言うと、そいつの目の前に作りたてのオムライスをどんと、置いた。
「食え」
男は、だいぶ、飢えていたのに違いない。
ガツガツと慌ててオムライスを食い散らしていった。
俺は、男の横に麦茶の入ったコップを置きながら、声をかけた。
「落ち着いて食え。喉に詰まらせるぞ」
「大丈夫・・んぐっ」
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