10 野良と新しいお友だち

2/9
前へ
/186ページ
次へ
「暇そうだな」 突然、声が聞こえて、俺は、そっちを窺った。 あれ? 刈谷? なんで、高等部の校舎に中坊がいるわけ? しかし、そいつは、刈谷では、なかった。 刈谷とは、少し髪型も違うし(こいつの方が、ちょっと髪が短めで、いかつい感じがしていた)、制服も高等部のものだった。 しかし、このクリソツぶりは、なんだろう。 そう、俺が思っていると、そいつは、俺の寝転んでいたベンチへと歩み寄ってきて、俺に言った。 「そこに、座りたいんだが」 「ああ?」 俺は、そいつを睨み付けると体を起こして場所を譲ってやった。 なんだろう、この威厳。 すでに出来上がった人間の醸し出す支配者ぜんとしたオーラが半端ない。 その男は、俺の隣に腰かけた。 俺たちは、しばらく、話もせずにベンチに隣り合わせて座っていた。 やがて、そいつが言った。 「お前が、転校生の小暮 雅人、か?」
/186ページ

最初のコメントを投稿しよう!

481人が本棚に入れています
本棚に追加