481人が本棚に入れています
本棚に追加
「暇そうだな」
突然、声が聞こえて、俺は、そっちを窺った。
あれ?
刈谷?
なんで、高等部の校舎に中坊がいるわけ?
しかし、そいつは、刈谷では、なかった。
刈谷とは、少し髪型も違うし(こいつの方が、ちょっと髪が短めで、いかつい感じがしていた)、制服も高等部のものだった。
しかし、このクリソツぶりは、なんだろう。
そう、俺が思っていると、そいつは、俺の寝転んでいたベンチへと歩み寄ってきて、俺に言った。
「そこに、座りたいんだが」
「ああ?」
俺は、そいつを睨み付けると体を起こして場所を譲ってやった。
なんだろう、この威厳。
すでに出来上がった人間の醸し出す支配者ぜんとしたオーラが半端ない。
その男は、俺の隣に腰かけた。
俺たちは、しばらく、話もせずにベンチに隣り合わせて座っていた。
やがて、そいつが言った。
「お前が、転校生の小暮 雅人、か?」
最初のコメントを投稿しよう!