10 野良と新しいお友だち

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「そうだけど」 俺は、答えた。 「何?」 「いや」 そいつは、俺に凄まれても顔色一つ変えることなく、淡々と言った。 「ちょっと、興味があっただけだ。あいつの恋人だときいたから」 あいつ? 俺は、刈谷の恋人と言われて、顔が火照るのを感じていた。 そんなわけが、ないだろ。 俺は、心の中で思いっきり否定していた。 俺は、奴の、家政夫に過ぎない。 それだけの関係だ。 「もしかして、あんた、刈谷の関係者?」 俺がきくと、そいつは、頷いた。 「駿の兄の刈谷 悠人、だ」 兄貴がいたのか。 俺は、初めて知った事実に驚いていた。 「マジか。あいつ、兄貴がいるなんて一言も言ってなかったし」 「兄なら、上にまだ、二人いる」 「マジか」 じゃあ、刈谷は、四人兄弟の末っ子だったのか。 どおりで、言い出したら聞かないところとか、いかにも末っ子だな。 俺は、妙に納得していたが、少し、イラついていた。 なんか、面白くなかった。 刈谷のこと、俺は、まったく知らない。
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