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学校が始まる前、8月の下旬に、一度、あいつの実家に招かれたことがあった。
そこで、俺は、あいつのじいちゃんと両親とを交えたお茶会とやらに参加させられた。
今、思い出しても、胃が痛くなりそうだ。
上流階級の人々の、こちらを窺うような眼差し。
腹の探りあいとか、言葉での殴りあいみたいな応酬。
そして、愛想笑い。
そこでは、俺たちは、特に何も実になることは話すことなどなかった。
当たり障りのないうわべの話だけ。
刈谷は、俺が聞けば、ぽつりぽつりとだったが、自分のことを話して聞かせてくれるが、あまり、自分からは、離したがらない。
基本、家族のこととかは、話すことがなかった。
でも、一度だけ、従兄弟だかなんだの話をしていたような気がする。
確か、刈谷がまだ、幼い頃に家を出ていったとかいう従兄弟の話だ。
だが、兄がいるとは、聞いていなかった。
「その兄貴とやらが、俺になんの用だ?」
俺がきくと、刈谷の兄貴は、にっこりと笑った。
マジで、刈谷にクリソツだ。
半端ねぇDNAだな。
イケメン家系、恐るべし。
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