481人が本棚に入れています
本棚に追加
はい?
俺は、異次元から来た人間を見るような眼で刈谷兄を見ていた。
何?
そういう家系の人たちなの?
でも、子孫は、まともに残していってるよね。
ということは。
刈谷もいつかは、女の嫁を貰うってことなのか。
俺は、なぜか、胸の奥がずきんと痛むのを感じていた。
俺は、刈谷にとって、遊び相手に過ぎないのか。
否。
ちょっと、待て。
俺は、なんとか、踏みとどまろうとした。
ヤバいとこだった。
なんか、俺が、刈谷に女ができるのが悲しいみたいなこと、考えるとこだった。
しっかりしろ、俺。
俺は、男、だ。
まだ、大丈夫、だ。
俺は、すみれさんで抜ける。
ふと、俺は、自分を微笑ましげに見つめている刈谷兄に気づいて、奴を睨み付けた。
「なんだよ?」
「いや、別に」
刈谷兄は、そのきき心地よい声で囁くように言った。
「一人で百面相して、かわいいなぁって思って見てただけだ」
「誰が、かわいい、だ」
俺は、ぐぅっと刈谷兄に近づいて、奴を睨んだ。だが、刈谷兄は、俺の隙をついて、俺を抱き締めてきた。そして、耳元で言った。
「本当に、かわいいな、お前は」
「はい?」
「うん、決めた」
刈谷兄は、言った。
「お前を、俺のものにする」
はい?
最初のコメントを投稿しよう!