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11 お仕置き野良
家のドアを開けようとしたとき、後ろからドアへ、どん、と手が伸びてきた。
俺が驚いて振り返ると、そこには、妙に無表情な刈谷が立っていて俺を見下ろしていた。
「刈谷・・?」
刈谷は、俺をドアへ押し付けると、囁いた。
「何か、俺に言うことは?」
「えっ?」
俺は、刈谷にドアに押さえつけられて、奴を見上げて少しだけ、恐れを感じていた。
凍てついたような刈谷の目に見つめられて、俺は、初めて、こいつとの体格差や、力の差とかいったものにびびっていた。
こいつにとっては、俺は、小さな獲物にすぎない。
俺は、今まで刈谷に守られていたのだ。
だが、今、刈谷は、俺を見たこともない冷ややかな表情で見下していた。
「言うことって・・」
「とぼけるなよ、雅人。兄貴と一緒だったんだろ?今まで」
「ああ」
俺は、いままで恐怖を感じたことなんて、数えるほどしかなかった。西条に捕まったときだって、恐ろしいとは、思わなかった。
どんな理不尽な現実も拳で打ち壊していく。
それが、俺の人生だった。
だから、今、俺は、拳でなんとかできない現状を前にして、どうしたらいいのかわからなくなっていた。
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