ラスト5分の恋

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食事が終わり、食べた食器を下げようと席を立ったら、「ユメ、あとはいいから」とお母さんに止められた。 コレもいつもの風景だ。 わたしは、食器を手から離し、そのまま洗面台へと逃げるように向かった。 お母さんのわたしに対する姿勢が、いつも他人行儀なのに苛立ちさえ覚えた。 学校に行く時間になり、わたしは玄関へ向かう。その時、カルガモの親子みたいにお母さんが後ろからついて来た。 「忘れ物はない?」 控えめな言葉で言ってくる。わたしは、ちらっとお母さんの顔を見て、「無いよ。行ってきます」と、我ながら素っ気ない態度で自宅を出た。 * 学校に着くと、自分のクラスがある、2年4組へ向かう。廊下は生徒たちで賑わっている。わたしは、賑やかに会話をしている生徒を横目に、スタスタとクラスへ向かう。 それに、この廊下にいる生徒たちのうち、誰がわたしと同じクラスメイトなのか分からなかった。 2年4組の教室の前に立つ。 わたしは、教室の扉を開ける前に大きく深呼吸をした。いつも、教室の中に入ろうとすると、急に鼓動が激しく鳴るからだ。 たぶん、に何かがあったからだと思う。 ……分からないけどね。 「よし」 自分に喝を入れて、教室の扉を開けた。 賑わっていた教室の中が、わたしが入ったことにより、シーンっと静まり返った。 何となく、既視感を感じる。前にもあったような……気がする。 静かになってしまった教室の中に入りーーー人の顔と名前は知らないが、自分の席だけは覚えている。 ホント、記憶なことだ。 自分の席は、一番後ろの窓側の席だった。 席に着き、カバンを机の横に付いているフックにかけて、窓の外を眺めた。
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