1人が本棚に入れています
本棚に追加
いつものように朝目覚めて、学校に行く支度をして、お母さんの他人行儀な態度に悩ませながらも、わたしはカバンを持って学校へと向かう。
昨日、何があったのかなんて覚えていない。
学校で学んだ勉強以外は……。
学校に着き、自分の教室へと向かう。
教室の前に立つと、わたしは深く深呼吸をする。なぜか、教室の近くになると鼓動の音が激しく鳴り響く。
たぶん、過去の自分に何かあったからかもしれない。
その何かは分からないけど。
「よしっ」
自分に喝を入れて、教室の扉を開ける。
賑わっていた教室が、わたしが入った瞬間静まり返った。
何となくだが前にも似たようなことがあったような、そんな既視感さえ感じる。
わたしは、窓際の自分の席に座り、カバンを机の横のフックにかけて、窓の外を眺める。
すると、突然「おはよう!」と、わたしの前に明るい男子生徒が現れた。
笑顔のよく似合う子だ。
「……」
わたしは、軽く男子生徒に会釈をして、カバンの中から読みかけの小説を取り出す。
あまり関わりたくないから。
しかし、男子生徒はめげずにわたしに話しかけてくる。
周りの人たちは、ヒソヒソと話してるのに。
「おはよう! 佐倉ユメさん! オレ、加藤健太って言うんだけど、佐倉さんとお話ししたいな?」
「……わたしは、あなたのことなんて知りません。それと、わたしに話しかけないで」
冷たく言い放つも、加藤健太という男子生徒は、「まぁまぁ」と遠慮なしに一方的に話し出した。
わたしは、彼の話しを1ミリも聞かずに、小説の世界にのめり込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!