ラスト5分の恋

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いつものように朝目覚めて、学校に行く支度をして、お母さんの他人行儀な態度に悩ませながらも、わたしはカバンを持って学校へと向かう。 昨日、何があったのかなんて覚えていない。 学校で学んだ勉強以外は……。 学校に着き、自分の教室へと向かう。 教室の前に立つと、わたしは深く深呼吸をする。なぜか、教室の近くになると鼓動の音が激しく鳴り響く。 たぶん、に何かあったからかもしれない。 その何かは分からないけど。 「よしっ」 自分に喝を入れて、教室の扉を開ける。 賑わっていた教室が、わたしが入った瞬間静まり返った。 何となくだが前にも似たようなことがあったような、そんな既視感さえ感じる。 わたしは、窓際の自分の席に座り、カバンを机の横のフックにかけて、窓の外を眺める。 すると、突然「おはよう!」と、わたしの前に明るい男子生徒が現れた。 笑顔のよく似合う子だ。 「……」 わたしは、軽く男子生徒に会釈をして、カバンの中から読みかけの小説を取り出す。 あまり関わりたくないから。 しかし、男子生徒はめげずにわたしに話しかけてくる。 周りの人たちは、ヒソヒソと話してるのに。 「おはよう! 佐倉ユメさん! オレ、加藤健太って言うんだけど、佐倉さんとお話ししたいな?」 「……わたしは、あなたのことなんて知りません。それと、わたしに話しかけないで」 冷たく言い放つも、加藤健太という男子生徒は、「まぁまぁ」と遠慮なしに一方的に話し出した。 わたしは、彼の話しを1ミリも聞かずに、小説の世界にのめり込んだ。
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