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人類VSゾンビ
「本日、午後三時二十分、奴らの大規模な侵攻が確認された。向かう先はオハイオ州西部第三駐屯地。我々が実行中である地球清掃作戦における軍事拠点の一つであるッ」
将軍であるギュスタフがそう叫ぶと、配下の面々が怒号の声を上げる。
すると側近の一人が進言する。
「支援に向かいましょう、将軍。現在、まだ奴らに優位な時間帯ということもあり万が一の壊滅もあります」
「それについては大丈夫だ。その万が一を想定して人員及び装備を大幅に拡充しているからな。奴らは逆に返り討ちに合うだろう。よって今我々がすることは手薄になった奴らの巣を叩くことだ」
おお……ッと、《第一級戦略室》がざわめく。
「巣ですか。とうとう実行されるですね」
「ああ、ずっと待っていたのだ。業を煮やした奴らが第三駐屯地へ侵攻するのを。全てはこの日のために準備をしてきた。ぬかりはない。今こそ、奴らをせん滅するときなのだッ」
テーブルを叩き、立ち上がるギュスタフ。
さきよりも大きな配下の奮起の叫号が、《第一級戦略室》に響く。
「ええ、今こそ奴らを滅ぼしましょうっ。我々の士気は高い。すぐにでも奴らの巣の襲撃を実行すべきです」
出撃の高揚を表情に浮かべる側近。
しかしギュスタフは手で制すると、《第一級戦略室》に集まった面々見ながら言った。
「諸君、我々は四半世紀の長きに渡り、奴らとの血肉の争いを続けてきた。しかし、とうとうその対立の構図は崩れる。我々の勝利によってな。
残虐にして狡猾、傲慢にして強欲な地球の害虫を完膚なきまでに叩きつぶそうではないか。そう、あと五分経てば我らの時間……夜がやってくる」
ギュスタフの両眼が血走る。
食らい過ぎた肉のせいで裂けた口唇が、糸を引きながら開かれた。
「思う存分に殺意をぶちまけるのだ。今日、人類は我々ゾンビの手によって永遠ニ滅びルコトにナル。グギ、ギ……」
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