第10夜

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玲央が眠ってしまって、央一郎はその頭を撫でながら今回の事件について考えていた。 まさか勇吾がこんな形で自分を裏切るなど、央一郎は思ってもいなかった。 勇吾がかつて美紗緒に惚れていたのは知っていたが、まさか息子の玲央にその想いが向くだなんて予想外の出来事だ。 そういえば……勇吾は玲央を組に入れて極道にするのにずっと反対していたよな…。 黒川に顔見せして、玲央が次期組長へのレールに乗ってしまって勇吾は焦ったのだろう。 玲央を大切に思う気持ちに嘘はなかったのかもしれない。 だが………。 手錠を掛けられていた玲央の手首は擦り切れて血が出ており、身体中に切り傷やかすり傷がある。 この低い気温の中、手錠を掛けられたまま裸で山中を逃げるなど…玲央はどれ程怖い思いをしたのだろう。 勇吾はやり過ぎた。 この報いは受けさせなくてはならない。 央一郎はぐっと唇を噛むと、眠る玲央の髪をゆっくりと優しく撫で続けた。 真治は勇吾を連れて家に戻り、離れにある部屋に勇吾を連れて行くと見張りを立てて鍵を掛けた。 玲央を取り返されてやる気を失ったのか、勇吾は抵抗する気もなく素直に真治に従っていた。 本当なら、勇吾にもっと怒りをぶつけたかったが、それよりも真治の頭にあったのは玲央のことだ。 暗がりだったのでハッキリとは見えなかったが、玲央はあちこち怪我をしているように見えた。
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