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今すぐ玲央の部屋に行って無事を確かめたいが、その前に真治はやらなければならないことがある。
真治は大きく息を吸ってから、覚悟を決めて央一郎の部屋に向かった。
「親父……今いいか?」
「………入れ」
央一郎の声は低く、明らかに機嫌が悪そうだ。しかし怯んでいる場合ではない。
玲央だってあの小さな体で戦ったのだ。
自分が怖気付く訳には行かない。
「玲央のことで話がある」
「お前……俺の知らないところで玲央を抱いたらしいな」
「本当に申し訳ない。でも俺は本気で……」
真治が言い終える前に、央一郎は思い切り真治を殴りつけた。
突然目の前が真っ黒になってチカチカと星が飛ぶ。久々に受けた央一郎の本気の拳は、以前よりも威力が増したような気がする。
「親父……俺は本気で玲央を……」
央一郎はもう一度真治を殴りつけた。
堪らずに膝をついた真治の髪を掴んで上を向かせる。
親父を怒らせることは想定内だ。
ここからどうにかして話を聞いて貰わないと………。
「玲央が……言ってたぞ。体の関係を持ったのは自分が誘ったからだと。お前は悪くないと……」
「玲央がそんなことを……」
「玲央がそう言っても、俺はお前を許さない。俺に隠れてこそこそ付き合って玲央の処女まで奪いやがって」
「本当に申し訳ない……」
真治は両手を地面について、央一郎に土下座をした。土下座くらいで許して貰えるとは思わないが、今は土下座をすることくらいしか出来ない。
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