第10夜

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今すぐ玲央の部屋に行って無事を確かめたいが、その前に真治はやらなければならないことがある。 真治は大きく息を吸ってから、覚悟を決めて央一郎の部屋に向かった。 「親父……今いいか?」 「………入れ」 央一郎の声は低く、明らかに機嫌が悪そうだ。しかし怯んでいる場合ではない。 玲央だってあの小さな体で戦ったのだ。 自分が怖気付く訳には行かない。 「玲央のことで話がある」 「お前……俺の知らないところで玲央を抱いたらしいな」 「本当に申し訳ない。でも俺は本気で……」 真治が言い終える前に、央一郎は思い切り真治を殴りつけた。 突然目の前が真っ黒になってチカチカと星が飛ぶ。久々に受けた央一郎の本気の拳は、以前よりも威力が増したような気がする。 「親父……俺は本気で玲央を……」 央一郎はもう一度真治を殴りつけた。 堪らずに膝をついた真治の髪を掴んで上を向かせる。 親父を怒らせることは想定内だ。 ここからどうにかして話を聞いて貰わないと………。 「玲央が……言ってたぞ。体の関係を持ったのは自分が誘ったからだと。お前は悪くないと……」 「玲央がそんなことを……」 「玲央がそう言っても、俺はお前を許さない。俺に隠れてこそこそ付き合って玲央の処女まで奪いやがって」 「本当に申し訳ない……」 真治は両手を地面について、央一郎に土下座をした。土下座くらいで許して貰えるとは思わないが、今は土下座をすることくらいしか出来ない。
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