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「玲央は……大丈夫だったか?」
「怪我自体はどれも大したことないんだが、裸で寒空に居たからか熱が出てきてな…今は寝てると思うぞ」
「玲央……頑張ったな。叔父貴の指を二本も折ったなんて…」
玲央の今までの人生では、喧嘩なんてしたことも無かっただろうに。
他人の指を折るなど勇気が必要だった筈だ。
「ああ見えて玲央は肝が座ってるからな。流石俺の息子だ」
「叔父貴は……どう処分するつもりだ?」
「玲央は無事に戻ったが、そのまま破門て訳にもいかんだろう。ケジメをつけさせてから破門するしかねぇな」
勇吾は長年央一郎の右腕として、どんな気持ちで居たのだろうか。
勇吾のことを親しい友のように信頼していた央一郎にとって、勇吾の裏切りは辛いものだった。
「真砂子の方はどうだ?」
「澤倉に手を出すなと釘を刺しておいた。俺が使えないし叔父貴も居なくなるんじゃ、わざわざこっちに出てこないんじゃねぇかな」
「真砂子との結婚は失敗だったが……いい息子を連れて来てくれたことには感謝だな」
真砂子は母親らしいことは何もしてくれなかったが、央一郎に出会わせてくれたことは真治も心から感謝している。
「さ、玲央のところに行ってやれ。勇吾の件は明日だ」
「親父……ありがとう」
「頬は冷やしとけよ。色男が台無しだ」
自分で殴ったくせに、何食わぬ顔でそう言う央一郎に苦笑しながら真治は玲央の部屋に向かった。
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