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朝になり、目を覚ました玲央は真治の顔が触れそうなほど近くにあったことに驚いた。
一晩中傍に居てくれたんだ……。
朝起きてすぐに真治に会えたことが嬉しくて真治の頬に触れようとした玲央だが、そこがかなり腫れているのに気が付く。
昨日……勇吾を取り押さえる時には怪我なんてしていなかった気がするが……。
家に帰るまでに何かがあったのだろうか。
「痛そう………」
真治のせっかく男前な顔が痛々しく腫れていて、玲央は心配になってしまった。
自分の手首や体の傷よりも真治の頬の方が余程重症だ。
「ん………起きたか?玲央、具合はどうだ?」
「真治さん…頬はどうしたんですか?僕の知らないところで、あれからまた何かがあったんですか?」
「ああ……これか」
真治は頬を押さえながら体を起こした。
頬は痛むが気分はいい。
「これは親父に殴られたんだ」
「僕とのことで……ですよね?すみませんでした……。僕のせいで……」
「玲央のせいじゃねぇよ。俺がきちんと親父に話す前に手を出しちまったのが悪いんだ」
「でも……。お父さん、怒ってましたか?」
「ああ。でも許してくれた」
央一郎が許してくれたと聞いて、玲央の大きな瞳にみるみる涙が溢れてくる。
許して貰えるまでお願いしようと思っていたのに、こんなに早く許して貰えるだなんて夢のようだ。
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