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『澤倉組を関東一の組にしよう』
若かりし日の央一郎と勇吾は二人でそう誓を立てた。
央一郎が組長になってからは、勇吾が右腕として央一郎を支え、澤倉組はめきめきと大きくなり、関東一とはいかないがそれなりに大きくなったのに……。
「あの馬鹿野郎が……」
勇吾の居なくなった澤倉組を、これからは真治と玲央の力を借りて立て直さないといけない。
内輪でこんなとんでもない事件を起こしたのだ。ここから火消しをするにはどうしたら良いのか……央一郎は一人頭を抱えるのだった。
「で、俺へのご褒美は?」
事件のあった数日後、真治は例のバーで赤司と会っていた。
赤司達の拠点は現在藤代組のシマに移ったようだが、赤司は相変わらず澤倉のシマに住んでいる。チームの頭だった筈なのに、自分のチームは放置している状態だ。
「まあ、世話になったな。ありがとよ」
「それだけ?真治さんの為に、俺けっこう頑張ったよ?」
「手伝って貰っといて何だけどお前……何でそんなに俺に懐いてんだ?」
あれだけの情報収集スキルがあれば、どこの組でも喜んで高待遇で赤司を迎え入れるだろう。カタギの仕事だって選り取りみどりではないか。
無償で真治に協力してくれるのが不思議でならない。
「退屈なのは嫌いなんだ。COLORSも飽きてきちゃったところで真治さんに会ってさ。久しぶりにワクワクしたんだよね」
「ワクワク?俺に?」
「楽しそうに俺の仲間をぶちのめしていくのがさ、見てて面白かった。あんたとなら、面白い世界が見られるかなって」
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