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第1夜
人生って、本当に何があるか分からない。
僕がそう思ったのは17年の人生の中で2回ある。
最初は、たった一人きりの僕の肉親だった大好きな母親が事故に遭ってあっけなく死んでしまった時。
そして、2回目は……。
その日は突然訪れた。
6歳で母親を亡くしてから、身寄りのなかった早川玲央は児童養護施設『おひさまの家』で大きくなった。
親が居なくて寂しいと思ったことは勿論ある。
だが、優しい職員や同じく親の居ない子供達とそれなりに楽しく生活出来ていた。
高校にも通わせてもらい、その日も普通に登校して施設に帰宅した。
いつも通りの日常、そう思っていた玲央の世界はその日突然大きく変化することになるなど、玲央は全く想像もしていなかった。
異変の兆候は施設の駐車場に、見たことも無い高級車が停まっていたところから始まっていた。
「凄い車だな……。園長先生のお客様かな?」
そんなことを思いながら玲央が施設の玄関に入ったところで、中から職員の中山さんが慌てて玲央の前に飛び出して来た。
「玲央君!良かった!すぐに園長室に来てちょうだい!」
「中山さん。どうしたんです?そんなに慌てて……」
「来れば分かるから。早く早く!」
いつも冷静な中山がこんなに慌てているのだから、何かあったのだなと玲央は素直に中山の後に着いて園長室に向かった。
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