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 学校帰りにすれ違うおじさんからぷんとお酒の匂いがした。振り返るとホームレスだ。夏だからなのか茶色く汚れたタンクトップにボロボロのスラックスを穿いている。達彦は眉間に皺を寄せてホームレスを目で追った。ここは公園の脇だ。ホームレスは公園のトイレに入って行った。道端で用は足せないんだろう。ああまで落ちぶれたくないな。まあ、お金に困ったことはないが。達彦はそう思って、自宅のマンションに向かって歩いた。明日も部活だ。憧れの先輩と会えるのが嬉しい。  近藤達彦はお坊ちゃま育ちだ。ハッキリ言ってお小遣いに困ったことはない。欲しいものは何でも与えられて貰ったし。洋服だってブランド物しか持っていない。  なぜ、お金に困っていないかというと達彦が赤ちゃんのときにお父さんがコンピューターの会計ソフトを作り上げ、それが爆発的に売れたからだ。国内だけでなく海外にも売れた。アメリカでは類い稀にみる画期的なソフトだとヒット商品になった。  丸央という珍しい名のお兄さんがいる達彦は数億円だして買ったというマンションに住んでいる。学歴も良く私立の小学校と中学校に行った。勿論のこと今通っている高校も私立のお坊ちゃま学校だ。男子高で有名な大学の付属高校である。
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