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次の日に部活に行くと、乙矢先輩は来てなかった。中岡くんもどうして来てないのか知らないようだ。知らないとモヤモヤするので意を決して顧問の先生に聞いた。家庭の事情だという。達彦は心配になった。後で連絡してみようかな。乙矢先輩はこの前、連絡先を教えてくれた。達彦はLINEのIDを聞いて登録だけしておいた。まだメッセージを打ってないが、後で軽井沢の別荘の話でも振ってみようと思った。
丸央は彼女を助手席に乗せて校門のところに車を停めて待っていた。達彦は彼女に会うのは初めてだ。窓のところでお辞儀をすると彼女はドアを開けて外に出た。
「丸央さんの弟さんですね」
「はい。あの、芽衣さんですか?」
「ええ、事情は車の中で聞きました。父の名前は佐竹史也でネットショップをやってましたよ。たぶん入院している人は父でしょう。私が小さいときから飲み歩いてたんです。でも悪い人じゃないんですよ。酔うと陽気になって、いい人なんです」
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