16人が本棚に入れています
本棚に追加
ガラガラと倉庫の入り口が重たい音を立て、細い細い月明かりが倉庫の中へと入ってきた。
この倉庫に今日初めて男と沙良以外に起因した音が鳴り響き、2人して入口の方へ瞬時に目線をやった。
「誰だ!」
男は叫び入口の方へと銃を構えた。
入口の方に立つ人物をよく見ると手には大きなアタッシュケースを持っているのが目に付いた。アタッシュケースを持った男は一言も発さずただ入り口近くで怯えたように立ち竦んでいた。
「なんだよ。」
男はその人物がお金を持ってきた沙良の彼氏であることに気付き、近づくとアタッシュケースを思いっきりぶん捕り中を開けた。
「おお、ちゃんと入ってるじゃねえか。」
男はアタッシュケースの中に入ったお金をきっちりと確認した。薄明かりの中、大金の入ったアタッシュケースを確認して気分を良くする。
「よし、きちんと1億円持ってきたんだな。ゲヘヘ、労せず大金がゲットできた。後はもうお前らで適当にやっておけ。」
男は別に金さえ手に入れられれば後はどうでも良かったのか、アタッシュケースを持ってさっさと倉庫から出て行った。
お金を持ってきた方の男は沙良に近づくと黙々と縄を解いていく。思った以上にしっかり巻かれている縄を時間をかけて解き終え、ようやく沙良の身体は自由になった。
「ありがとう…」
沙良は静かにお礼の言葉を伝える。そして続けて疑問に思っていたことも口に出した。
「ところであなた誰?…」
最初のコメントを投稿しよう!