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少し賭けてみた。
「好きかも」
……お前が。
と言いかけて口を噤む。
「そう!?よかった!」
好きだけど、戸惑われるだけではないかと伝えることを躊躇したのだ。
いつのまにか君を失うのが、怖くなっている。
夏が好きになったのだと勘違いしたハルが、目を輝かせた。
「次は、花火大会行こうね!」
「は?やだよ」
また、君に悪態をついた。
咄嗟に出た俺の悪い癖だった。
やはり、このままではダメなのか。
何も変わらないまま、夏が終われば、君に会えなくなるだろうか。
そんな確証はひとつもないけど。
嫌な推測に、いつになく心が騒ぎ立てた。
ざわめきが広がって、焦燥感に駆られた。
だから今俺は、熱に浮かされたことにして、予定になかったことをしようとしているんだろう。
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