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マンション前の駐輪場までなんとか連れてくると、不機嫌そうな唇が開いた。
「あ、俺財布持ってねぇからな」
「え、嘘」
確かに彼は身軽な格好、いや、身軽すぎる格好だ。
無地の白ティーにジーパンとポケットに入ってるであろうスマホと自転車の鍵のみ。
「ハルが無理に連れてきたんだから、奢れよ」
「今なら、まだ取りに帰れるよ?」
それを最後まで言い終わらないうちに、ジト目で睨まれた。
「……ハーゲンダッツだからな」
「うあぁ、はい」
女子に奢らせるなんて、紳士じゃない。
アキは私のお財布には優しくないみたいだ。
ここで、アイスクリームよりアイスキャンディの方が美味しいのに。と、こぼせばアキは、また部屋に引きこもるのだろう。
それはさせない。
何がなんでもアキとアイスを食べたい。
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