1人が本棚に入れています
本棚に追加
「あー、すずしー」
彼はコンビニに一目散に駆け込んだ。
そして、手に取ったのはもちろん、あのお高いカップアイス。
持った瞬間、こちらを向いて、いやらしく彼が微笑んだ。
そのあと、私のバイト代が飛んでいく時も、気持ち悪い笑みを浮かべていたアキ。
あれかな。
人のお金で食べる焼き肉は美味しいってやつ。
「やっぱり、家に帰んねぇ?」
「ここまで来て?!」
アキは姿勢を崩さない。
初めて会った時もそうだった。
ああそうだ。あのときも。
そこまで思い出して、コレもついこの前なのか。とハッとする。
あまりにアキとの時間が馴染んでしまって、随分前からの知り合いだったように錯覚をしてしまった。
君は、君でキミじゃない。
アキは、なんでもめんどくさそうで、汗を掻くことは嫌い。
アブラゼミの鳴き声が嫌い、物を多く持ち歩くのも嫌い、私の暑苦しいマシンガントークもそんなに好きじゃない。
けど、最終的には全部聞いてくれる。
それが、今隣にいるアキだ。
最初のコメントを投稿しよう!