1人が本棚に入れています
本棚に追加
コンビニに、50円のアイスキャンディはなかったから、120円くらいするパインバーにしておいた。
木陰を探すのに少し時間がかかったせいで、彼のクッキーアンドクリームは溶けかかっていて、またお小言を言われた。
でも、アイスを食べている間は、アキも流石に、減らず口が治ったらしい。
黙々と冷たい白黒にスプーンを突き刺す。
私もその横でパインバーを舐めていた。
「私子供が生まれたら、ナツって名前つける」
「は?えらい安直だな?」
「だって、好きなんだもん」
「おい、旦那の意見も聞いてやれよ」
「あ、私とアキの間に生まれた子ならぴったりだね」
「いや、フユの可能性考えろ……てか、そんな未来、来ねぇし」
「えー、アキくん冷たいー」
ブワっと懐かしい感覚に包まれた。
そうそう、甘くて冷たいアイスと夏の匂い、誰かと話すたわいもない時間。
たまに恋しくなる瞬間。
漠然と蘇ったいつかの記憶。
私が求めていたのは、これだ。
最初のコメントを投稿しよう!