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一方カイ達の部屋では最悪の空気のまま
カイはもう一眠りしようと横になっており、
ナオヤがページをめくる音だけが響いていた。
ぺらり・・・・・・ぺらり・・・・・・
こういう時は何もかもが癇に障るものだ。
ぺらり・・・・・・ぺらり・・・・・・
「ぺらぺらぺらぺらうるせーな!ソレ実は読んでねーだろ!嫌がらせか!?」
「ぺらぺらうるさいのはお前の口の方だろ、
一言も口を聞かないんじゃなかったのか?」
「あ"ぁーーーー!?なんだとさっきから・・・
もう我慢できねーオモテにでろっ!!!」
とその時
どんどんっ!!「カーイーさんっ!」
この重ためのノックはスーだ。
流石にスーに八つ当たりをすることは耐えたカイは
なんとか気を取り直して扉を開けた。
「どうした?」
といいつつまだ顔は不機嫌なままである。
「ちょっとだけお付き合いして欲しいところが有るんですぅ」
スーは頑張って必死の上目遣いでカイを見上げる。
上目遣いは殿方を悩殺するという情報をどこぞで仕入れてきたのだ。
(どうしたんだスーは今日は目ン玉ひん剥いて・・・?目にゴミでも入ったか?
ともかく街の外とか危ないところに行くなら付いてってやらなきゃまずいかな・・・)
「わかった、先下で待っててくれ、準備していくから」
スーの必死のアピールは報われなかったが目論見のほうは成功したようだ。
「準備なんていりません、さぁさぁさぁ~~!」
「えっ?えっ?えぇ~~っ?」
と半ば引き摺られるようにしてカイは連れ去られていった。
しばらく経ったのを見計らいレリエは部屋に戻ってきた。
集中してるのか特に気にした様子もなくナオヤは本を読み耽っている。
こういう時声をかけるのもためらわれるが二人が喧嘩したままでは明日からどうしたらいいのか・・・・・・
背に腹は変えられない。
「・・・お兄・・・ちゃん・・・・」
レリエは13にもなってお兄ちゃんはないだろうと思うがナオヤはそう呼ばれたがっている節がある。
離れて暮らしていた時間が長かったからかいつまでも小さいままに思われているのかもしれない。
恥を忍んで呼びかけてみたところ効果てきめんだったのか
ナオヤは喜色満面で顔を上げた。
「なんだ!?どうした??お兄ちゃんに何か用事か?」
想像以上の食いつきにたじたじとなるがレリエには遂行すべき任務がある。
「そうなんだ、お願いがあるんだけど」
小さめのレリエからしたらほとんどの人の顔が上の方にあるので自然と上目遣いになる。
可愛い弟の、可愛い上目遣い・・・ナオヤの荒んだ心は一気に癒やされた。
「言ってごらん!!!お兄ちゃんが可能な限り全力でレリのお願いを叶えてやるぞ!!」
(え?もうなんか機嫌良くなってない???)
しかしレリエは鼻息荒く肩を掴まれてもう引くに引けなかった。
ポケットから一枚チケットを出してナオヤに渡す。
「15時にここに来てくれる?」
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