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カイは銅色のバッジを差し出した。
この意匠が施されたバッジがランクを示す会員証だ。
「ふぅん。
このランクだとアンタは一応魔物退治くらいはできるというワケだな。
みたところ・・・っ旅人かい?」
「そうだけど」
ギルドのオヤジはパーティのメンツをぐるりと見渡すと
笑いをこらえることなく言い放った。
「ガハハ!旅っつーより、ピクニックにでも出かけそうなパーティだが、
・・・・・・大丈夫かい?」
最後の方のセリフは真剣味すら含んでいる。
いつかどこかで似たようなセリフを言われたことを思い出すと
思わずカイはムッとした。
「いいかオヤジ、こいつは一応アドラステアで騎士やってたんだぜ、
スーちゃんはりんごくらい片手で握り潰せるほどたくましいし
こっちの小さいのは術士だから見た目で判断すんなっ
後ろの背が高いやつは・・・まぁ野生っーか・・・とにかく大丈夫だ」
「おい、一応とはなんだ」
ナオヤはカイと相性が良いのか悪いのかやたら突っかかる所がある、
それをスーがまあまあとなだめる。
オヤジはひげを弄りながら大事な確認をする。
「う~~ん、まぁ、そこまでいうのなら別に止めはしないが、
怪我しても自己責任だからな?」
「わかってるよ、それで、何か受けられそうな依頼はあるか?」
ギルドのオヤジは手元の依頼を集めた分厚いバインダーをパラパラめくり、
「そうだな~最初だしなぁ~~~
パン屋のネズミ退治、郵便馬車の護衛、洞窟でとあるアイテムの採取。
この3件のどれかはどうだい?」
新参者には軽い依頼から依頼するのがセオリーだ。
「なるべく報酬が高いものにしてくれ」
「馬車の護衛がこの中では良いほうだが一人で十分だな、
洞窟の依頼は品の取れ高によって変動するから
運次第では洞窟のほうが割に良いかもしれないぞ」
カイ達は顔を見合わせた。
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