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「ねぇ喧嘩しないで、もうすぐ分岐点だよ」
あたりはレリエの小さな光球を出すライトの魔法でほんのりと照らされている。
ランタンや松明を持って歩くより随分楽でいいとカイは思う。
「レリ、お兄ちゃんは喧嘩なんてしてないからな、
ただカイはまだまだ未熟だから教育的指導をだな・・・」
ナオヤの弟への溺愛ぶりは今やパーティのとって見慣れたものとなっていて
誰もツッコミもしない。
「ハッ・・・なっなにかカタカタと音がしませんか?」
地図を見ながら前を歩いていたスーが立ち止まる。
気配を感じたナオヤが腰から双剣の柄を取り出しそっと魔力を込める
と透けた氷のような美しい刀身が現れる。
続いて構えようとしたカイを制止し
「カイッ、レリを連れて行け!!」
相当に敵の数が多そうだ。
それにこの骨の音はアンデッド、核を見つけて壊すまでは何度でも再生する。
「けどっ」
「ヒカリゴケは真っすぐ行った突き当りだろう?
お前達で依頼品を回収して戻ってくるまでここは俺とスーで抑える、
だから、さっさと行け」
「大丈夫です、急いでくださいですぅ~!」
スーが先程のレリエと同じようにライトを出してあたりを照らし、
戦闘態勢に入る。
カタカタという音はどんどん増えて白い影が行く先を塞ごうとしている。
「・・・わかった、行こうレリ!」
「う・・うん。気をつけて兄様、スーちゃん」
心配そうに振り返るレリの腕を引くカイの背中が闇に消えるころには
骨の魔物たちがナオヤとスーと取り囲んでいた。
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