同窓会

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同窓会

 2022年2月2日がやって来た。  オレたち、那古野市立2中の2年2組の生徒たちは、20年ぶりに集まり、校庭に埋めたタイムカプセルを開けることになっていた。  とはいえ、2中は五年前に閉鎖されて取り壊され、跡地がマンションになっている。  タイムカプセルはその時に掘り起こされ、自動で開くように設定された。  開くのは、この日の午後2時22分にセットしてある。  中には、全員の手形が朱肉で押してあり、その脇に、当時の気持ち、将来の夢が添えてあった。  オレは、それを見るのが楽しみだった。  学校周辺は再開発され、マンションやショッピングセンターなどがひしめいている。  今日は、マンション22階の集会場で、そのタイムカプセルをオープンするイベントが開かれる。  「香川」というクラスメートが案内を送って来た。  エレベーターホールで待っていると、香水のきつい匂いが漂ってきた。 「ひょっとして、新垣くんじゃない? 新垣光(あらがきこう)くんでしょ?」 「もしかして佐山水鳥(さやまみどり)? 随分大人っぽくなったね」 「そぉ? これでも二児の母ですからね。新垣くんは?」 「いや、それが独身で」  佐山は、フフフと含み笑いをした。結婚している私は勝ち組、という余裕の笑みだろう。 「大丈夫よ。男は30歳からって言うしさ」 「あ、ああ。ありがとう」  明らかに、上からの物言いだ。  今日はクラス会を兼ねている。  集会場には、既に30人ほどの男女が集まっていた。  テーブル上には、サンドウィッチや焼き鳥などが並んでいた。昼間だというのに、ビールやチューハイ、日本酒までも用意されている。  中央のテーブルには、小型スーツケース並みの大きさのタイムカプセルが置かれている。 「確かにそうだ、これを校庭の隅に埋めたんだ」
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