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「君の顔を見つめていると」
グラジオラスのような火炎の美しさを持つ君の顔を見つめていると、私は憂愁に囚われる。君は崩壊していく。あまりにも気高く、処女の詩句をもって泡沫と化してゆく君の存在はあまりにもかそけし花々をもみしだくようだ。私は一群の詩を捧げる詩人だが、あまりにも君はそっぽを向くから、私は気が気でないのだ。そうだあらゆる美を見つめて、恍惚としてうなだれて私は君を思い浮かべよう。君は光の中に花を散らして現れる妖精のようにいるから、私は芬々と香らせる君の匂いを嗅ぎ、そして巴里の憂鬱を思うのだ。酒を呑み君を思うと疲れる。何故なら君は顫音響かせる神の音色のように五月蠅くそして壊れてゆく階調のようだから、気が気でないのだ。永遠を見つけようが、地獄のさなかにいようが私は創造してゆく詩人だ。詩こそが汚れた腐った世界にあろうと、慰安をもたらす酒なのだ。君は詩そのものだ。酒だ。神々を痴らせる魔術だ。私は気高い君を好くが嫌いだ。君をいつか失いそして私は憂愁に囚われ疲れ切り筆を取るからだ。私の筆は魂だ。あらゆる秘術の痕跡だ。そして永遠があるのかもしれないのだ。
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