愛の賛歌の書

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「少女よ」 肺病みの少女よ君は限りなく美しい 青い目をした猫の様だ その可憐な姿を目にして私は悲しんだ ピエタの前で泪を流し 私はヴィオロンを奏で憂愁の果てに夢を見る 君は優しい心を持ち私を見つめていた 限りない残酷な現実のさなかに君はいる 鬱蒼たる森を抜け駆けた二人で そこには君と同じく病を知る数多の人がいた 肺病みの少女よ君は耳を持つ貝殻だ 磨きだされた美しさだ だから祝された接吻為し 少女よ私の下においで手を取れ 天翔けて銀色の雨を降らせて 遠い遠い国へと出かけて 二人で消えよう
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