15人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
「…かわいい。めちゃくちゃかわいい」
選んだゆかたは、さわやかな水色の生地に、牡丹や菊、桜、蝶々などがあしらわれたもの。古風でキュートなデザインだ。
ゆかたのまろんはくるりと回転して、あざといポーズを取った。自分のかわいらしさを存分に自覚している動き。人間を骨抜きにする動きだ。
ついでに鈴のついたゴムで髪をくくってあげた。
…なんという殺人的なかわいらしさ。鼻血が出そうだ。
まろんはおもむろに、ねずみのおもちゃを差し出した。押入れの奥にしまい込んでいたはずなのに、いつの間に見つけたんだろう。
「遊べ」
ゆかた猫耳少女に命令されたら逆らえない。僕は猫用おもちゃを手に取り、ねずみの動きを模して動かし始めた。
最初のコメントを投稿しよう!