8月15日

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 まろんは畳でバリバリと爪をとぎ、狩りモードになった。  床に這いつくばり、姿勢を低くする。瞳孔が開き、瞳が真っ黒になる。獲物から目を逸らさない。じっくりとタイミングを見計らい、ねずみのおもちゃに跳びかかった。 「獲ったにゃ―!」  ゲットしたねずみに噛みつき、後ろ脚でげしげしと蹴る。しばらく獲物を堪能してから、ばっと飛びのいた。再び身を低くしてゆっくりとしっぽを振り、獲物が動くのを待つ。  なつかしい。以前は作品制作に行き詰ると、よくこうやってまろんに遊んでもらっていた。  遊んでもらっているうちに、創作意欲がまた湧いてくる。眼球を通じて、脳内にいろんな動作のまろんが再生される。その映像を、紙の上に再現したくてたまらなくなる。そして衝動的に鉛筆や絵筆を手に取る。そうやって作品を描いていた。
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