1.パンデミック

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1.パンデミック

朝、いつもの様に出勤をするために地下鉄へ向かう。 駅のホームに降りるが、普段より静かなように感じられる。 月曜の朝にしては異様な静けさだ。 もしかしたら僕が寝ている間にこの世界に何らかの異変が起きて、それこそ映画でみるようなゾンビウイルスがそこらじゅうに蔓延して、感染した人達はゾンビとなってどこかに潜んでいるとか、そんなようなことを想像してしまう。 しかしなんてことはない、一般的な祝日なのだ。 一般的な祝日と言うには少し語弊がある。昨日、つまり2月23日が天皇誕生の祝日で、2月24日の今日はその祝日の振替休日なのだ。 そして僕が一瞬危惧したゾンビウイルスの件だけれど、あながち間違っていない。 と言うのも、いま、新型肺炎ウイルスが世間を騒がせているのだ。 毎朝のように新たな感染者がニュースで発表され、今朝の時点では東京で30人、北海道は26人にも増えている。 この新型肺炎ウイルスが日本中に蔓延したら、よくあるB級ホラー映画のように抗ウイルス薬の開発も進まず、混沌とした色のなくなった世界で、わずか数名だけが生き残る。 なんてことも有り得なくはないなと、電車に揺られながらぼうっとと考える。 ここまでの文をスマートフォンに内蔵されているメモ帳アプリに記したまま、数ヶ月が経った。 新型肺炎ウイルスは爆発的な速さで世界中に拡がり、流行り始めの感染者数の何十倍もの人々がウイルスに感染している。 国では緊急事態宣言が発令され、僕の会社も在宅勤務になったりと色々動きはあった。 しかし、感染者数が落ち着いた頃に緊急事態宣言が解除され、また再び感染者数が増えている。 感染者数増加については様々な見解があるだろうが、これはあくまで僕の感覚である。 いつになったら新型肺炎ウイルスはおさまるのだろうか。 春先に始まり、すでに夏も中盤に差し掛かっているというのに。 end
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