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おんぶ
それから僕は小春を背負いながら帰路についていた。
「大丈夫か?」
「うん、だいぶ落ち着いた」
肩に手を乗せ遠慮している。
「変態嫌い……」
「いや、好きなやついないだろ」
「確かに」
やっと笑った。少しでも気が紛れればといつも以上に話しかけていると「気を使ってるでしょ」と見抜かれた。
「なんで男の人ってああなんだろう」
「さあな、本能じゃないか?」
「みんな律みたいだったらいいのに」
「人類滅亡するぞ、それ」
「……興味、ないの?」
「ああ」
「本当に?」
「ああ」
「そっか」
「どうした?」
「べっつに〜」
背中で急に暴れだした。「おい、落ちるって」と言いながらがっしり掴むが、後ろで組んでいた手が解け、小春の太ももに触れた。
「……えっち」
「暴れるからだ」
耳元でささやかれる。吐息がかかってくすぐったい。
「……触りたい?」
「べっつに~」
真似をしてからグッとためて、背負い直そうとしたが失敗した。
「ーー!?」
衝撃が走った。
「どうかした?」
「いや、なんでもない……」
そう言いながら背負い直した。しかし、太腿には触れたまま。「やっぱり触りたいんじゃん」と言われ「違う」と否定した。
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