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夢中
僕はヤング誌の隠し場所にいた。
手に取り、ページをめくる。グラビアアイドルの下着姿をじっくり見てみるが何も感じなかった。
パラパラとめくっていると後ろ向きのところがあった。ドキッとした。真ん中にあるしわのような一本線から盛り上がるような肉付きのいい膝窩だ。
気づくと僕は手で触れていた。触れられないとわかっていても、友人と同じように、欲望のを満たすかのように指でなぞっていた。
途端、ゾッとした。違う、僕はこんな人間ではないと。自分で自分を否定した。
そして八つ当たりをするかのようにヤング誌を破った。
頭から離れない膝窩を振り払うかのように破る。ぐしゃぐしゃになった知らんやつの顔が滑稽だった。
わざと顔を真っ二つにもした。指で突き刺したり、丸めて地面に叩きつけたりもした。
「お前、何やってんだよ!」
一緒に買った友人が来たことにも気づかないほど夢中で。
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