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変態
夏休みだというのにこの公園に人はいないのは住宅地から離れていて、砂場、シーソー、ベンチしかないからだろうか。そんなことどうでもいいし、ちょうどよかった。
すぐ後ろの木に蝉がいるのだろうか、やけにうるさい。そうやって僕の思考を妨害しておいてほしい。でなければ悪い方向にしか考えられなさそうだった。
殴られて未だに頬がちりちりと痛むのを我慢していた。友人は泣きながらヤング誌の破片を集め「お前なんか絶交だ」と小学生みたいな別れ方をされた。
こんなこと、誰にも相談できない。小春にも言ったら嫌われてしまうだろう。友人の耳に入ってしまえば学校中に広まることは間違いない。親にも言えるわけがない。
ずっと1人で抱え込んで生きていくのだろうか。そう思うだけで憂鬱だった。
「よぉ少年」
おじさんと表現するぐらいの年齢だと思う。走っていたのか髪はぐちゃぐちゃに乱れ、無精ひげを生やしている。ワイシャツを着ており、汗で張り付き透けていた。ズボンをなぜか手に持っていて、そして何より、白ブリーフ一丁姿だ。シャツの前が白ブリーフの中に入っている。
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