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「興味がおありかな?」
おじさんが片足を上げて僕に微笑んだ。もしかしてと思ったが「白ブリーフに」と付け足したことにそっちかと安堵する。超能力者かと思った。
「いいえ」
「まぁまぁ座りたまえ」
「嫌です」
「少し話そうじゃないか」
「嫌です」
「おじさんはな、社会のために活動中なんだ」
それなら一刻も早く警察署へ行ってくださいとは言えなかった。何されるかわからないし、早くこの場を離れたいと思っていた。
「まぁいいか。おじさんからの助言だ。これだけは覚えておけ」
ベンチから立ち上がりズボンを肩にかけた。正面に立つと意外に背が高かった。
「みんな変態だ」
ガシャっと何かが落ちる音がした。CDケースのようなものだ。おじさんは「かずきちゃんがぁ!」と大事そうに胸に抱きしめていた。そして胸ポケットからよれよれの紙を手渡される。
「当たると良いな」
身をひるがえして公園の外に出ていこうとする。白ブリーフが食い込んでいたのが目に入り「うへぇ」となった。
「少年。行動が大事だ。悩んでいても始まらないぞ。答えは常に先にしかない」
尚も足を止めずに、ひらひらと手を振っていたが「あぁ!」と飛び上がっていた。
「なんでこんなところに蝉落ちてんだよ! っざけんな!」と地団駄を踏んでいた。
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